2009年11月02日

凍りのくじら

凍りのくじら 辻村 深月

誰といても本気で楽しいと思えない人へ

まずは主人公説明。
主人公は女子校生で周りよりやや精神年齢がたかく、同じ女子校生を子供と見ている。
そんな子供と思っている級友との会話も楽しくも無く、無難に話して終わるだけ。
どこのグループとも仲良くできるが、どこのグループでも核ではない。飾りなのだ。
あってもなくても良い飾り。
ノリと若さを楽しむための規則性。
まず一つ。飲み会という言葉は合コンのユーフェミズム。つまり強い言葉を婉曲に言い替えてるだけ。合コンというといかにも出会いに飢えている気がして浅ましい。
当然そこに集まってくる者はほとんどが浅ましい。
出会ったばかりで名前を呼びすてにし、今日からもうお友達。
そういうものだと一度飲み込めば後は違和感無く溶け込むことができる仲間システム。
友達は流れ流され移り変わっていくもの。
二つ目。
自分が一人「違う」ことはこの場所では絶対に伏せる。
彼らにわからない言葉や熟語は使わないし、必要以上に自分の意見も言わない。
意見や感想は、それを受け止めることができる頭を持っている人間相手じゃなければ上滑りして不快なだけだ。
主人公の考える頭のよさとは今までのその人の読書量。
周りの子供たち(高校生)は全ての場面で言葉が足りない。
考え続けることに対する耐性が無く、ぱっと湧いた感情に飛びついてそれに正直に生きるだけ。
ノリと若さを楽しんで生き急ぐこの子達に確かに読書は敬遠されて然りなのだろう。
毎日の時間の埋め方を知らないから馬鹿にならないのみ代を重ねて騒ぐ。

そして最後三つ目。
とりあえず笑っとく。

毎日の生活をつまらなく感じ周りを馬鹿にし、孤独に生きている。
恋に対しても冷めている。周りは恋をして満足かもしれないけど主人公はそこらへんのドラマやマンガにでてくるくだらない恋なんて求めていない。
主人公の寂しさ孤独は恋全てで解消することはできない。
主人公の恋にはどろどろと濃いエゴばかりが凝り固まりそこに求めるものはまわりとは違う。
読書と平行して人と接することに励んできた人の多くは現実に対する想像力も優しさも持ち合わせているのかもしれないが主人公は違う。
「どこでもドア」をもつ主人公はどこのグループでも輪に溶け込める。
愛想よく馬鹿なふりをしながら。親身に話を聞いて良い人ぶりながら。どこでもいけるし誰とでも合わせられる。
そんな主人公は自分でこう名づけている。
SF 少しSukosi 不在 Fuzai
場の当事者になることは無くどこにいても自分の居場所だと思えない。それはとても息苦しい。

とこんな感じで主人公は今の周りの高校生に合わせられるような規則性を作っている。
見ての通り精神年齢が高いのか低いのか分からないが人間的に少し冷めている。

そんな主人公とダメ元彼氏と一つ年上の性格イケメンで構成されるストーリー。

ダメ元彼氏は読んでて腹が立ちましたが確かにこのような男性はいるなぁと思いそして少し自分も重なるところがありそれもまた悲しかったです。

主人公は高校生 元彼は大学生で完全に独立した関係を作ろうとしていた。そこに互いのともだちをはさむことは無かった。大学生の彼氏は主人公(高校生)を彼女だということを友達にも家族にも一言も言わず完全に独立した関係性を作った。理由は学年が違うとかそのような理由ではなく別れた時に支障がないからだ。何があっても二人以外の登場人物がいないので何かあっても主人公は彼の関係者を知らない。ここら辺は共感できるw
何も恋愛や彼氏彼女が世界一偉いわけでもない。
むしろもっと大切なことはたくさんある。もっとラフに考えなきゃ。恋愛なんて暇つぶしの一部だし、仕事と恋愛どちらが大切かと聞かれれば仕事と答える。友達よりも価値は下。
恋愛は定期的に入れ替わるけど友達は一生の付き合いだ。恋愛は代わりなどたくさんいるが仕事に代わりは無い。


そして一つ気になったのが男と女のストーカーの違い

女の場合は相手に対する曲がった愛情によってそうなる。そして素質としては思い込みの強さや突拍子の無さがどの程度かということ。その相手を手に入れたいという愛情から派生した間違った執着で動く

男の場合は少し厄介だ。自尊心の高さによる。別れた相手に執着する場合の話だが、男は傷つけられた自尊心を取り戻すために躍起する。俺を馬鹿にした事実。俺を振ったという事実。それをなかったことにしろ!というような。傷つくことに慣れていないひとがそうなりやすい。女を反省させないと意味ない。自分が何をしてしまったのかを充分に知らせてその上で後悔なり謝るなりさせる。自分が一番偉い正義なんだってことを証明したい。


誰と一緒にいても本気で楽しいと思えない人。まさに俺なのだが。ここまで大げさではないけどやっぱりつまらないときって多い。
男の場合はバカやって女の話して、たまに勝負して。
女の場合はテレビやマンガのような恋愛を演じる。それだけで充分疲れるが。

そんな人の気持ちが思いっきりわかる本です。
ぜひ読んでほしい。主人公と自分は似てます。読んでいるときなんでこんなに分かるんだろうと思いました。
posted by θ at 02:38| 東京 霧| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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